こんにちは、ブルー・オーシャン沖縄の安田です。私は現在、沖縄県竹富町における「テレワークの導入による就業機会の創出」という取り組みにおいて、竹富町の各離島に住むテレワーカーの皆さんのマネジメントを担当しています。今回のコラムではこの取り組みが実際にどのような形で運用されているのかについてご紹介したいと思います。

1.竹富町が抱える課題と、解決策としての「テレワーク」の導入

働き方の二極化(つまり観光産業と農業)が顕著である竹富町は、一方で働きたくても働ける場所がない子育て世代が多いこと、また、主要産業の閑散期における収入源をどう確保するかが課題となっていました。加えて、観光産業に偏っていたためリーマンショック後の人口減少が顕著であったことからも、場所や時間を問わない新たな働き方を模索していました。

そこでICTのメリットを最大限に活用した「テレワーク」の概念を導入し、竹富町に属する各離島でテレワーカーを募集。彼らをいわばひとつのバーチャル企業のような形で束ね、株式会社ブルー・オーシャン沖縄が全体をマネジメントすることで、首都圏企業から業務を受託し運用する形を構築し、結果これまでに60名のテレワーカーを排出しています。

この新しい仕組みにより、季節によって繁忙期・閑散期がある離島の産業構造に寄り添ったWワークのライフスタイルを実現し、離島における新しい就業の形を確立しています。

2.テレワーカーを束ねてバーチャルカンパニーを形成

次に以下の図をご覧ください。

通常、いわゆるクラウドソーシングの形でテレワーク業務を請ける場合、テレワーカーは発注元企業と直接コンタクトを取り、契約を交わし、期日までに仕事をこなし、品質チェックを受け、無事に納品が完了するまでの全てのやりとりを自分自身で行うことになります。

しかしながら、このように個人と企業が一対一でやりとりをする場合、実は双方にリスクがあります。例えば品質をどう担保するのか。スケジュール管理の問題。また、テレワーカーが体調を崩して予定通りに納品できない場合にどう対処するのか、等々の細かい懸念もあります。

そこで、私たちがお手伝いをしている竹富町のケースでは、弊社が間に入り両者を仲介しています。具体的には、竹富町のテレワーカーの皆さんを束ね、いわばひとつのバーチャルカンパニーのような形を作っています。そして、私たちブルーは発注元企業からの定期的な案件受注や納品物の品質チェック、スケジュール管理等々を行い、テレワーカーの皆さんには「仕事だけに集中して、あとの面倒なことは一切気にしなくても良い」環境を提供しています。

3.離島ならではのテレワーク導入運用マネジメント

実は全国的に見ると、このような環境を整備して地元のテレワーカーさんへのお仕事を仲介している自治体さんは他にもあるのですが、それらの自治体さんと私たちとではひとつ大きな違いがあります。それは、私たちのテレワーカーさんたち(現在30名以上いらっしゃいます)は西表島、波照間島、竹富島、小浜島など竹富町内のそれぞれ別々の島に住んでいる、ということ。つまり、他の自治体さんのように、定期的に全員で集まってノウハウを共有したり情報交換したり、ということが物理的に非常に難しいのです。

ではふだんどのようにしてコミュニケートしているのか?ですが、ふだんはいわゆるチャットツールを使ってやりとりをしています。案件の案内から納品まで、基本的には全てこのチャットツール上で行っています。しかし、文字だけでのコミュニケーションですべてを行うのは容易ではありません。特にふだんお互いが離れている分、遠隔でのマネジメントは非常に慎重に行う必要があります。また、チャットツールやテレビ会議だけでグループを運営していくことは難があります。

そこで、ブルー・オーシャン沖縄では定期的に各離島に足を運んでメンバーと情報交換を行っているのですが、特に離島に暮らす皆さんはそれぞれにご自身の独自の生活スタイルを作り上げていらっしゃる方も多く、そういった意味でも、おひとりおひとりを理解したうえでの、パーソナライズされたマネジメントというものが必要になってきます。

この「テレワーカーひとりひとりにパーソナライズしたマネジメント」はお察しのとおり、今風の効率的な組織運営とは対極にある取り組みと言えます。しかし、このマネジメント手法こそが運用上もっとも重要な部分であり、また私たち独自のノウハウが蓄積されている部分であると考えています。もちろん、実際に運用していると効率化を優先させたくなる場合があるのも事実です。が、それは逆に「私たちの価値がどこにあるのか?」という原点に立ち返って考える良い機会にもなっていると思います。

4.プロジェクトの自走化に向けて

なお、次年度からは竹富町の補助金に頼らない完全自走化の個人事業主グループとして運営していきます。そうなるとこれまでとはまた全く異なる次元での発想が必要となってきますので、弊社メンバーとテレワーカーの皆さんとがこれまで以上に一体化し、また西表島で運営中のシェアオフィス「パイヌシマシェア」の新たな活用方法も模索しながら、自走化を現実のものにしていきたいと考えています。ぜひご期待ください。