崎山です。今回は「感情労働」というキーワードを設定してこのブログを書き進めてみたいと思います。

沖縄のIT・情報通信産業に従事している人の7割はコールセンターで働いています。

今となっては、沖縄におけるITの主要産業はコールセンターであるということが既成事実となっています。1998年の沖縄マルチメディアアイランド構想において、沖縄県は多数のコールセンターを誘致し、多くの雇用を生み出しました。その功績は大いに評価されるものだと言えます。

しかしながら、振り返ってみると功罪があると言わざるを得ない現実もあります。

ネガティブな要因として挙げられるのは、離職率が4割というその異常な高さです。「コールセンターで働く」といったことがどういうことなのか考えてみたいと思います。

「感情労働」が引き起こす離職率4割という現実

世の中には無数に仕事が存在しますが、例えばその働き方を大きく分類した場合、肉体を使ってその報酬を得る“肉体労働”、アイデアや知識を使って報酬を得る“頭脳労働”、などに分けることができます。

そして、そのもうひとつの分類として、“感情労働”と呼ばれるものがあります。文字通り、自分の感情を抑えたりすることの代償として報酬を得る仕事のことを言います。

コールセンターで働く方の大部分はこの“感情労働”の分野に属します。見ず知らずの他人から強い苦情を受けるなど、つまり、自分がやったことではないことに対して謝罪をするなど、そのすり減らす感情が報酬の対象になっている場合も多くあります。

離職の理由は様々ですが、やはりストレスによるメンタルへの影響で辞めるパターンが多く、国・県・業界の解決課題として顕在化しています。コールセンターは高い対応率、つまりオペレーターへの繋がりやすさが顧客満足向上の一丁目一番地なので、その実現としてオペレーターといったリソースを最大限に活用する必要があります。

しかしながら、最近で言えば24時間営業が当たり前とされていたコンビニ営業も、見直す風潮になりつつあります。社会全体でこれまでの労働について疑問を持ち始めています。まさに働き方を考え直す空気が最近では蔓延しているように思えます。コールセンターのオペレーターの働き方も考え直す時期に来ているのではないでしょうか。

「みまもりがじゅ丸」の生体データ監視による見守り

NTT-PCコミュニケーションズに「みまもりがじゅ丸」というサービスがあります。ウェアラブルセンサーから労働者の生体データを監視し、見守るというサービスです。

その中に、コールセンターオペレーターの心拍数等からストレスを数値化し、しきい値を超えた場合、スーパーバイザー(以下SV)へアラートが送られ、SVがオペレーターをフォローするというシステム(サービス)です。

この場合、データを受け取ったSVの裁量、つまり運用に左右される恐れもあります。ここからは私のジャストアイデアであり、当社ではまだ企画会議にすら挙がっていませんが、以下に書いてみたいと思います。

人が辞めない環境を目指すのか、人が入れ替わっても継続できる運用を目指すのか

中・大規模コールセンターにはACDという着信を適切にオペーレーターへ振り分けるシステムが入っています。(入っていない事業所もありますが)簡易なものもあれば、細かい要件に応じて着信呼を振り分けるものもあります。

先述のウェアラブルセンサーからストレス過多の信号を読み取り、APIを通じてACDが対象オペレーターへの着信を自動停止する。バイタルがストレス状態から改善されたときに着信が再開される。オペレーターのストレスをマネジメントするのであれば、それなりに効果があるのではと思います。

しかし、時給で雇っているオペーレーターが10分20分応答しないこと、これはコンビニが24時間営業を辞めるか否かの選択と近いと思います。

人が辞めない環境を作るのか、人が入れ替わっても継続できる運用をするのか。

タテマエではない本当の選択をする時期にコールセンターもあるのではと思います。