概要
沖縄県内の小中学校で長く利用されてきた、オンプレミスのファイルサーバーにあった70テラバイトという巨大データをGoogle Drive(Google Workspaceの共有ドライブ)へ移行しました。
Project
実施時期 2025年
実施場所 沖縄県内の某小中学校様
実施範囲 企画 設計 実施
背景・課題
国が進めるGIGAスクール構想に伴い、教育データをクラウド化することで、場所や端末を問わず、より安全に利活用したいというニーズがありました。
加えて、コストを抑えたいというお客様からの強いご要望もありました。
ブルー・オーシャン沖縄の取り組みと成果
立ちはだかった3つの壁
- 既存システムの負荷: 稼働中のNAS(ネットワークHDD)には、何万人もの先生や生徒がアクセスしており、常に高負荷な状態でした。頻繁にシステムが一時停止したり、ネットワーク遅延が発生したりしていたため、移行作業がさらに負荷をかけるわけにはいきませんでした。
- 転送速度の限界: 70TBという膨大なデータ量に対し、通常の転送方法では完了までに1年以上かかると試算されました。しかし、お客様の要望は「2026年3月末まで」であり、通常の方法では到底間に合わない状況でした。
- Googleドライブの仕様制限: 1つの共有ドライブにつき「50万ファイルまで」という上限があります。そのまま移行すると確実にこの制限に引っかかる学校が多数ありました。
独自のノウハウで課題を突破
ネットワーク面では、既存の業務に影響を与えないよう、NASが置かれている県内のデータセンター内に専用の環境を構築しました。また、そこに移行専用の高速回線を新設し、ローカル環境は10Gbpsの超高速ネットワークを整えることでボトルネックを解消しました。
―― NASの負荷対策
このNASはメイン機とバックアップ機の2台構成(HA構成)になっていたため、稼働中のメイン機ではなく、バックアップ機からデータを抜く構成に変更しました。これにより、お客様への影響を最小限に抑えつつ、転送速度を上げることができました。
―― ソフトウェアやハードウェアの工夫
様々な転送ツールを検証した結果、コマンドラインベースの強力なクラウドネイティブツールを採用しました。また、データセンターに設置する移行用PCも、Intel Core i9、メモリ64GB、高速SSDを搭載した非常にハイスペックなものを用意し、並列処理をさせて転送を行いました。
―― Googleドライブの「50万ファイル制限」への対応
事前に全ファイルのプロパティを細かく分析し、必要に応じて共有ドライブを分割する構成をお客様に提案しました。この緻密な設計により、制限を乗り越えることができました。
徹底した検証とエンジニアたちの力
検証を含めて約半年ほど、当初の試算の半分以下の期間で移行を完了させました。
―― 移行のポイント
Googleがこのような大規模移行に関するベストプラクティスを公表しているわけではありません。また、このようなエンタープライズクラスのデータを本格的に移行したというケースは他に見つかりませんでした。そのため、海外のサイトなどを含め、私たち自身で徹底的に調査・検証を行いました。
また、単にデータを移すだけでなく、ネットワーク回線、サーバー、NAS、クラウドの仕様などの知識も必要となりますが、それらを熟知している私たちならではの強みが発揮できたと思います。インフラの設計構築から保守まで、泥臭い現場を知ってるエンジニアたちが活躍しました。
―― この業務を通して得た気づきなど
Googleドライブ自体の挙動が、実はかなり「アバウト」な部分があるという点です。PC側のドライブにいったんキャッシュしてからクラウドへ同期する仕組みのため、正しくデータが移行されているかの確認に神経を使いました。
また、クラウド上でのファイル数やサイズの比較、ハッシュ値による内容一致の確認も、これだけの容量になると膨大な時間がかかります。コピーするとファイル数が増えてしまう(隠しファイルやキャッシュの影響)といった現象もありましたが、ひとつひとつリスト化して突合し、解決していきました。